競馬小説(?)の大定番といわれる宮本輝さんの「優駿」。
実はまったく知りませんでした。
「優駿」は 競走馬の生産牧場、トカイファームで生まれた「オラシオン」という馬を取り巻く人々の物語です。
タイトルから「競走馬のサクセスストーリーか何かかな?」と思われそうですが、競走馬生産者、馬主、馬主の家族や部下、競馬記者、騎手、調教師など、それぞれの人間らしさを主題として描かれている物語のように思います。
そしてオラシオンという競走馬は、登場人物たちの人生をつなぐ不思議な馬、奇蹟の馬として存在します。
しんみりした気持ちで読むシーンが多かったのですが、読後はこざっぱりした気分でした。
たくさんの人物が登場するなかで、生産牧場の息子、博正のトカイファームに対する真摯な姿は普段の自分を顧みるきっかけにもなりました。
「馬が出てくる小説」ということを差し引いても、十分な読み応えのある作品です。
★BALOG★